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DR. アベの健康外来_21 グルテンフリーダイエットは、どんな食事ですか。一種の減量法なのでしょうか。

2013/08/27【日本商工倶楽部・連載記事】

(2013年8月1日 649号掲載)

 

近年、アメリカのスーパーやレストランで「グルテンフリー」と表示された商品やメニューを目にするようになりました。特に健康や美に対して意識の高い女優やモデルの間から流行が始まっているようです。
 
グルテンというのは、小麦、大麦やライ麦などに含まれるたんぱく質のことです。従ってグルテンの含まれる食品には、パン、うどん、素麺、ラーメン、パスタ等の麺類、餃子の皮などがあり、弾力性やコシの強さはグルテンによるものです。その他にカレールー、醤油、麦味噌などの調味料にも含まれています。菓子類なども含めると、グルテンを含む食品や料理は私たちの身近に溢れています。
 
グルテンフリーダイエットとは、「小麦などに含まれているグルテンを含まない食事」という意味で、元々は後述の自己免疫疾患病や食物アレルギーの人の為の食餌法です。
 
ダイエットというと日本では減量というニュアンスが強いですが、本来は食事法や何かの目的のための食事制限という意味です。グルテンフリーダイエットは正確には減量目的の食事法ではありませんが、血糖値を急上昇させる小麦粉食品の摂取を制限することで、結果的に減量に繋がると考えられます。
 
ではグルテンの何が問題なのでしょうか。第一に小麦アレルギーの原因になっていること。第二に過敏性腸症候群(IBS)などのグルテン不耐症では、グルテンの入っている食物を食べると不調になること。第三にはセリアック病ではグルテンを含まない食事が不可欠となっていることです。セリアック病とは、日本ではあまり認識されていませんが、体内でグルテンの分解ができず、体はこれを異物とみなし腸管免疫が過剰に反応し、腸の絨毛を攻撃して慢性的な炎症が起こる自己免疫疾患です。そのため永久的にグルテンフリーダイエットが必要になります。
 
このようにグルテンは医学的に栄養管理という点で重要な物質で、グルテンアレルギーがある人や不耐症の人にとっては、絶対に避けなければならない物質なのです。
 
食品ではありませんが、日本でも最近、小麦の含まれる石鹸を使用してアレルギー症状が出たことが報告されています。これは、経皮感作というメカニズムです。皮膚から何度か侵入してゆく中で、無毒なものを有害なものとして認識することを「感作」と呼んでいます。
 
食品にしろ生活製品にしろ、無害なものが体内で有害と認識されると、これを排除しようと様々なアレルギー症状がでてきます。
 
小麦アレルギーの症状は、皮膚のみに現れるものと全身に現れるものの二つに大別できます。まず皮膚のみの症状として、じんましん、赤い発疹、腫れがでてきます。全身に現れる症状はアナフラキシー(急性アレルギー反応)と呼ばれ、命にかかわる重篤なアレルギー症状です。小麦を食べて数時間以内に、二つ以上の臓器に次のような症状がでます。
 
  • 皮膚ではじんましん、赤い発疹、目の周りの腫れ。
  • 消化器ではのどの痛み、吐き気、腹痛、下痢。
  • 呼吸器ではくしゃみ、鼻づまり、喘嗚(喘息)、呼吸困難。
  • 循環器では頻脈、血圧低下、手足の冷感。
  • 神経系では活動レベルの低下、めまい、意識消失。

 

 
小麦アレルギーの治療としては、小麦成分含有製品を使用しないことや、小麦食品は食べないというのが一般的ですが、最近では、少量ずつ食べて体を慣れさせる「減感作療法」が医師の管理のもとで行われるようになっています。
 
小麦アレルギー症というほど強い症状がない方でも、もし原因不明の体調不良や痛み、皮膚疾患などに悩まされている場合は、グルテンを含まない食事を暫く試みて体調の変化を見てみるのもいいかも知れません。
 
九段クリニック 阿部 博幸


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