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DR. アベの健康外来_20 この片頭痛、どうにかなりませんか。

2013/06/10【日本商工倶楽部・連載記事】

(2013年6月1日 648号掲載)

 

外来を訪れる一時性頭痛の患者さんのうち、緊張型頭痛や群発頭痛を除けば8割以上が片頭痛の患者さんです。
 

片頭痛のメカニズムは、脳の血管が何等かの理由により収縮し、再び急に拡張することで頭痛発作が起こります。発作中に光や音、臭いなどに敏感になったり、入浴や労作で頭痛が悪化する場合があります。
 

正しい診断を受けずに、市販の鎮痛剤で痛みを紛らわしている方も多いと思います。不適切な治療を続けていると片頭痛が慢性化することが報告されています。それは、片頭痛全体の約3割にも及ぶと言われているのです。この慢性化には脳の器質的変化が関係すると考えられ、脳内にある「痛み調節システム」が異常をきたして、痛み刺激に敏感に反応する状態が生じているのです。
 

発作時に服用する薬の使い過ぎによる片頭痛の慢性化は、薬物乱用頭痛と呼ばれています。特に月に15日以上服用している場合には、薬物乱用頭痛を生じるリスクが高くなります。薬物の乱用がなくても、加齢に伴っても慢性頭痛は起こります。片頭痛が月に15日以上の頻度で3ヶ月以上続く場合には、これに相当します。
 

片頭痛の治療には急性期治療薬と予防薬とがあります。これらをうまく組み合わせて治療にあたる必要があります。
 

片頭痛治療に欠かせないのがトリプタンという薬です。トリプタンはセロトニン受容体の一種である5-HT 1B/1D受容体に選択的に作用します。トリプタンは血管を収縮させ、かつ神経末端に作用して炎症を起こす物質の放出を抑えて、片頭痛の発作を終わらせます。
 

現在までに、保険適用薬として5種類のトリプタンが販売されており、錠剤、口腔内速溶錠(速攻性)、口腔内崩壊錠(水なしで溶ける)、点鼻液、皮下注射など剤形も多様です。
 

使用の目安として、ストロングな製剤はマクサルト、スタンダードな製剤はイミグランとゾーミッグ、マイルドな製剤としてはレルパックスとアマージに区分することができます。
 

患者さん毎に有効性、副作用などが異なるので、あるトリプタンが効かない場合には、他のトリプタンを試して自分に合うものを選ぶのが良いと思います。
 

トリプタンは頭痛が始まりかけたとき、すなわち発症から1時間以内に服薬すると最も効きやすく、飲むタイミングが重要です。片頭痛の患者さんは不安が強かったり、薬剤や医療者への不信感があると薬剤の効果が減少する傾向にあります(ノセボ効果)。
 

急性期の薬剤の乱用を防ぐために、予防薬と組み合わせて使用することが奨められます。保険診療で使える薬剤は、①抗てんかん薬のデパケン、②β遮断薬のインデラール、③抗うつ薬のトリプタノールなどがあります。また、重度の月経困難症を有する片頭痛患者さんに、月経痛と片頭痛の両方の軽減を目的として低用量ピルを処方する婦人科医もおります。
 

頭痛の程度や日常生活の影響をみるために、頭痛ダイヤリー(日本頭痛学会)がお奨めです。外来受診時に持参することで、より正確な診断と治療方針に役立ちます。
 

いろいろな薬剤が登場してきましたが、日常生活で予防するのも重要です。神経群に作用するビタミンB群や血管拡張コントロール作用のマグネシウムを多く含む緑黄色野菜をたっぷりといただける食事が、片頭痛予防に役立ちます。


九段クリニック 阿部 博幸
 



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