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DR. アベの健康外来_17 先生、インフルエンザの貼るワクチンを処方していただけませんか。

2012/12/10【日本商工倶楽部・連載記事】

(2012年12月1日 645号掲載)

 

最新の情報をお持ちですね。インターネットで調べたのですか。残念ながらまだ発売されていません。京都にあるコスメディ製薬と大阪大学が開発した直径1cmの丸いパッチ型のインフルエンザ予防ワクチンのことだと思います。皮膚に貼り付ける面に微細な突起が230本付いていて、貼るとその突起部分に封入してあるワクチン成分が溶けて、皮膚から吸収される仕組みです。突起が皮膚に刺さっても痛みはほとんどなく常温で1年以上保存できることから、メーカーは早期の実用化を目指しています。

 

今のところインフルエンザの予防ワクチンとしては、流行が予測されるウイルスに合わせた注射用のワクチンを使用します。ワクチンの接種は原則として2回行います。2回目の接種は1回目の接種から4週間後に行うのが効果的です。60才以上で心臓や呼吸器に障害のある方、65才以上の高齢者、免疫力が低下している方は定期接種(自治体によって期間や費用が異なる)の対象者となります。ワクチン接種以外の予防としては言うまでもなく、外出後の手洗やうがい、室内を適度な湿度(50%~60%)に保つ、人混みや繁華街への外出を控えること、外出時には、ウイルス・カットのあるマスクを着用して防御に役立てる。そして十分な休養とバランスの良い食事を日頃から心掛け、抵抗力を高めることです。流行期の予防には漢方服用も有用です。十全大補湯や補中益気湯のインフルエンザ予防効果は学術的に示されています。

 

インフルエンザはライノウイルスなどにより発症する風邪と異なり、インフルエンザウイルスA型(香港型、ソ連型、pdm09型)及びB型が原因です。初期には悪寒、頭痛と急速な高熱38~40℃を呈し、3~4日間続きます。症状として他に喉の痛み、筋肉痛、関節痛を伴います。合併症として気管支炎、インフルエンザ肺炎、細菌性肺炎、脳炎など致死的な合併症を起こす可能性があるので、インフルエンザに感染したら早期の治療が必要です。

 

まずインフルエンザの診断は、その症状に加えて迅速診断キットによって行われますが、A型で95%、B型で94%と高い検出率です。キットで陽性になればインフルエンザの可能性は高い。キットで陰性の場合でも必ずしもインフルエンザを否定できないことを意味しています。発症早期で、鼻腔・咽頭のウイルス量が少ない時に陰性を示し、半日から1日後に陽性となることはまれではないので、主治医の判断で治療を開始すべきでしょう。

 

現在では、インフルエンザ阻害薬は4種類が使用可能となっていますので、それぞれの特徴を活かして使用します。まず、吸入薬は2つあり、イナビルは発症後1回だけの吸入で気管や肺に長時間留まり1回完結型です。キットで陽性なら、その場で吸入していただき、それで治療が完了します。もう1つ、リレンザは1日2回5日間使用する吸入薬です。3つ目は、経口投与薬のタミフルです。10代の未成年ではタミフル服用後の異常行動の懸念から原則的に使用禁止となっていますが、10代を除く1才以上の広い年代で使われています。1日2回5日間服用です。4つ目はラビアクタです。内服、吸入の困難な方に、1回15分以上かけて点滴投与するもので、原則的に1回で治療が完了します。この4剤はいずれもA型、B型のインフルエンザウイルスに高い効果を示しています。

 

最後に、生活を共にする同居者にインフルエンザ患者が出た場合、患者接触後のインフルエンザ予防投薬の相談もできますので、速やかに各医療機関へお尋ねください。

 

九段クリニック 阿部 博幸



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