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DR. アベの健康外来_14 糖尿病のヘモグロビンA1Cが急に高くなったのに、薬を増やさなくても良いのですか?

2012/07/11【日本商工倶楽部・連載記事】

(2012年6月1日 642号掲載)

 

糖尿病の診断や治療経過の判断基準値となっていたHbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)が、2012年4月1日以降、今まで使われていた日本独自の測定法によって出されたJDS値から、国際標準値であるNGSP値で表記されるようになりました。今後はJDS値に0.4%加えたNGSP値に変更されます。


そのため、今までのHbA1Cより高い数字をみると、血糖のコントロールが悪化したと誤解する可能性があります。血糖のコントロールが変わらないのに、血糖降下薬の量を増やしたり、インスリン注射を増量したりして、低血糖を起こすことがないように注意しなければなりません。


当面HbA1CはNGSP値にJDS値も併記し、特定健診や保険指導については2013年3月まではJDS値のみを用いることになっていますが、周知徹底をはかる必要があります。
ヘモグロビンA1Cは、赤血球中にある酸素を運ぶヘモグロビン(Hb)にブドウ糖が結合したもので、過去1~2ヶ月の血糖値の平均を示すものです。国際標準値NGSP値がJDS値に比べ0.4%以内であれば、今までと同じ血糖コントロール状態と考えて良いのです。


今どき、どうして ヘモグロビンA1C(JDS値:ジャパン・ディアベテス・ソサエティ値)の表記が変更になるのでしょう。それは、大半の国がNGSP値(ナショナル・グリコヘモグロビン・スタンダージゼイション・プログラム値)を使っているため、日本のヘモグロビンA1Cの表記法が異なっていることは、国際的にあまり知られていないのです。そのため、研究発表や新薬開発などで情報の誤りや解釈の相異が出てくる恐れがあるためです。


わが国では、2011年10月に検査医学標準物質機構がNGSPの基準値を定める施設として認められ、日本の試薬を使ったJDS値とNGSP値の関係を明らかにしました。それによると、NGSP値(%)=1.02xJDS値(%)+0.25%であることが確定しました。
この式に実際の数字を当てはめると、日常診療で主にかかわっているJDS値が5.0~9.9%の範囲では、これまでのJDS値に0.4を加えた値がNGSP値となることが明らかになりました。


こうした流れをうけて、糖尿病の診断基準の1つである「HbA1Cが6.1%(JDS)以上」は、今後「HbA1Cが6.5%(NGSP)以上」と記されるようになります。これは、実際に糖尿病の診断基準が緩くなったという意味ではありません。


今回の数値の変更は国際基準に合わせるためのものですが、過去にも似たような変更がありました。それは総コレステロール値です。以前は240以上をもって高脂血症と判定していましたが、現在は220以上となっています。その結果、実際に高脂血症の幅を広げ基準値を下げることにより、より多くの人々が高脂血症という病気の仲間入りをすることになったのです。
2010年度版の厚生労働省の国民健康栄養調査によると、糖尿病予備軍と呼ばれる人々は1320万人と報告され、2002年版と比べ男性で3.7ポイント、女性で2.6ポイント増加しています。


過去の健診のデータを見比べるときに、ヘモグロビンA1Cが2012年4月に国際基準になったことを念頭に入れて判断していただきたいと考えています。
 

九段クリニック 阿部博幸



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