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DR. アベの健康外来_12 最近、眼の調子はいかがですか? 眼の成人病

2012/03/19【日本商工倶楽部・連載記事】

(2012年2月1日 640号掲載)

  

人間は加齢に伴って最初に衰えるのが感覚器と言われています。視力や聴力などの低下が、老化とともにまず現れるのです。
 
中でも眼については特に注意が必要です。白内障、緑内障、黄斑変性症など加齢に伴って現れる病気は「眼の成人病」と呼ばれ、放置しておくと失明の危険があるので予防や進行の程度をチェックすることが肝腎です。
 
白内障は、眼球のレンズに相当する水晶体が濁って視力の障害が起きる病気です。水晶体はほとんどの人は若い時には透明で、40歳を過ぎる頃から濁りが始まります。水晶体を構成している蛋白質が年齢とともに変性して濁ってくるのです。強い日差しで眩しく感じたり、遠くも近くも見えにくいなどは、白内障の症状と言えます。
 
白内障の治療は手術が中心となります。手術適応の目安としては、視力がメガネをかけても0.4以下、運転をする人は0.7以下の場合です。しかし、高齢であまり眼を使わない方は視力0.1まで待ってから手術に踏み切る場合もあります。
 
従来の手術は濁った水晶体を取り除くものでしたが、最近では技術的進歩により、眼内レンズ挿入手術を行い、視力をメガネで調節する方法がとられています。治療効果も上がり、手術後は世界が変わったように明るい外界に接することになります。
 
ただ、多くの人は手術直後に「見えているのに視えない!?」という不思議な経験をします。これはメガネの視力が安定していないこともありますが、脳がレンズを通してそこに物があるか、ないかという情報を最終的に認識しているからです。新しい環境の変化に慣れるのに脳もしばし時間が必要なのです。
 
さて、もう一つ重要なのが、緑内障です。緑内障は40歳以上では20人に1人の割合で発症していると推定されています。眼圧を保つ房水の循環障害が原因で起こります。眼圧が高くなることで視神経に障害が起こり、視野が狭まる病気で、進行すると失明してしまうことが多い怖い眼の成人病です。
 
人間ドックで眼圧、眼底検査がありますが、正常な眼圧は10~20mmHgとされています。緑内障になった人の眼底を診ると、視神経乳頭は眼圧で陥没していることがわかります。これを視神経乳頭の「緑内障性陥凹」と言います。
 
房水の流れる水路の隅角というところが慢性的に狭くなって、眼圧が25~30mmHgに上昇している場合を「開放隅角緑内障」と呼んでいます。一方、房水の水路が突然塞がれ、急に水かさが増した場合、急に眼圧が上昇し50~60mmHgにもなり、放置すると数日で失明してしまいます。これを「閉塞隅角緑内障」と呼び、手当は一刻を争う状態です。
 
薬だけで眼圧が十分に下がらない場合には、レーザー治療や手術が必要になります。房水が排出できるようにバイパスを作ったり、房水の排水口の線維柱帯を切開して取り除く方法などがあります。
 
私事になりますが、家内が車を運転中にどうも左側が見えにくいと言うので眼科受診となりましたが、やはり開放隅角緑内障と判り、手術で何とか進行を止めている状態です。
 
日本人の緑内障は、眼圧が正常な場合が全体の65%を占め、閉塞隅角緑内障が16%、開放性隅角緑内障が7%となっています。眼圧が正常だからと安心してはいけません。自覚症状がないうちに進行するので、定期健診が不可欠です。また、治療の際には病気のときに投与できない薬剤も多いので、医師に病名を告げることも重要です。
 
加齢に加え高血圧、糖尿病、パソコンなどで眼の酷使、紫外線などが眼の成人病に繋がります。視力のある快適な生活を送るためには、日頃の生活に注意を払うとともに、自覚症状が無くても定期健診を心掛けましょう。
 
九段クリニック 阿部 博幸
 
 



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