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DR. アベの健康外来_4 樹状細胞がんワクチンの実力

2012/02/12【日本商工倶楽部・連載記事】

(2010年10月1日 632号掲載)
 
前号で、がんの治療のために使われるワクチンには二種類あることをお話しました。一つはペプチドワクチンで現在治験中です。もう一つはすでに臨床応用が行われている、樹状細胞ワクチンです。このワクチンは樹状細胞にがんの目印(がん抗原)をその細胞表面に表出させたものです。これを皮内に注射をすることで、リンパ節からがんの目印を記憶したTリンパ球(キラーT細胞)ががん細胞を目印めがけてピンポイントに攻撃します。
樹状細胞がんワクチンはペプチドワクチンよりも優れていると考えられていますが、その実力はいかほどなのか。
まず標準治療が無効の「進行膵臓がん」に対する成績をみてみましょう。18例の症例に樹状細胞ワクチン療法を行ったところ、がんが完全に消滅したのが11.1%、がんの大きさが半分以下になったのが38.9%、がんの進行が停止したケースが27.8%、進行をくい止められなかったのが22.2%でありました。有効率は77.8%と驚く数字でした。
膵臓がんは発見することが難しいがんで、症状が出て画像診断で見つかった時にはすでに手遅れで、余命は一年以内と言われていますので、この成績は実に「驚異的な」と表現しても良いと考えます。
私のクリニックの外来には、この膵臓がんから生還した54歳の女性がおります。彼女の手記を紹介しましょう。
「2005年8月、定期検診エコーによって膵臓がんと診断された私は、あまりにも突然のことで、その重大さもはっきりと認識できず、医師にすすめられるまま入院しました。 ・・・中略・・・
9月のはじめから、入院、検査と続き、下旬に手術。当初は、膵頭部の部分摘出の予定でしたが、膵臓、十二指腸、胆嚢の全摘手術となりました。手術前、医師からの説明で驚きました。
『あなたのがんは、胃がんの末期よりひどいものです。乳がん、子宮がんなどはあなたのがんからみれば赤ちゃんのようなもの。そのくらい、あなたのがんの進行は末期状態です。おそらく、1年以内には転移するものと思われますが、このままでいるより、手術のほうがいいでしょう』
淡々と話す教授の言葉が悲しくもあり、辛くもあり、絶望的なものでした。
あのときから4年以上経った現在、私は元気で生きています。術後、手術を行った大学病院での化学療法と九段クリニックでの免疫療法について、述べていきたいと思います。 ・・・中略・・・
大学病院での化学療法だけでは、何とも不安な私が出会ったのは、九段クリニックでの免疫療法です。抗がん剤治療のような副作用がなくて、免疫力をつける、これを優先しました。 ・・・中略・・・
2008年4月、CT検査で肺に転移がみつかりました。最初の手術のとき、『次に転移したときは、多分手術出来ないだろう』といわれていた私は、再び恐怖感に怯えました。すぐに呼吸器科にまわされたのですが、胸腔鏡手術をするとのこと、再び入院、手術となりました。 
この転移数ヶ月前、九段クリニックでは、「樹状細胞がんワクチン療法」を取り入れていて、私は1クールを終えたばかりでした。転移のことを伝えると、先生は取り除いたがんを使ってワクチンをつくる手配をしてくれました。その後2009年の秋、予防のためにがんワクチン療法に取り組み、2010年春、桜の花を見る喜びを感じています。 ・・・後略・・・」
私は樹状細胞がんワクチンが次世代のがん治療の柱になっていくと確信しています。
 
九段クリニック 阿部 博幸



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