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DR. アベの健康外来_11 ロコモティブシンドロームとは何ですか、また誰でも罹る病気ですか?

2012/02/12【日本商工倶楽部・連載記事】

(2011年12月1日 639号掲載)
 
今回は、高齢者の健康管理において避けて通れない「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」を取り上げてみました。
ロコモティブシンドロームは、新たな病気が発見されて名付けられたわけではありません。この名称は、2007年に日本整形外科学会の中村耕三先生が提唱した概念です。骨や筋肉、関節などの運動器官の働きが衰え、生活の自立度が低くなり、要介護状態や要介護となる危険性が高くなる状態のことを言います。
高齢者の方について要介護となる原因を調べた統計では、関節の病気や転倒、骨折を合わせると全体の21.5%を占めています。(平成19年国民生活調査)これは脳卒中の23.3%に次いで第2位です。第3位は認知症で14.0%です。ロコモティブシンドロームは、日本社会が直面している大きな問題です。
ロコモティブシンドロームは、①骨、②関節と椎間板、③筋肉と神経活動のそれぞれの働きの低下から始まります。症状としては痛み、変形、関節の動きの制限、筋力低下、バランスを保つ能力の低下などが主なものです。機能の低下が進むと歩行障害となり、やがて歩けない、立ち上がれない状態になり、寝たきり、要介護状態となってゆきます。
ロコモティブシンドロームになりそうかどうかを自分で調べて対策を立てる必要があります。まず7つのチェック項目を紹介します。
□布団の上げ下ろしなど、家のやや重い仕事が困難。□2キロ程度の買い物をして持ち帰るのが困難。□片足立ちで靴下が履けない。□家の中でつまずいたり転んだりする。□15分くらい続けて歩けない。□階段を上がるのに手すりが必要。□横断歩道を青信号で渡りきれない。以上の項目は50才台以降を想定したものですが、ひとつでも当てはまればロコモティブシンドロームの可能性があります。
予防と対策として上述の中村耕三先生は次の6ヶ条を上げています。①まずは姿勢を見直す。猫背にならぬように意識する。②こまめに体を動かす。③小さな痛みも見逃さない。運動中や前後に痛みが残るようなら整形外科を受診されたい。④食事は体作りの基本。カルシウム(牛乳等)、ビタミンD(魚全般、きくらげ等)、ビタミンK(小松菜、納豆、ニラ等)を積極的に摂りましょう。⑤スポーツ前後はゆっくりストレッチ。⑥スポーツ量は加減も大切。自分に合った運動量で体を使いすぎないこと。
さらに積極的にロコモティブシンドロームを予防するために二つのロコモーショントレーニング(ロコトレ)が提唱され、転倒予防や骨折予防に役立っています。これは自宅で行える運動で、毎日続けることが重要です。
その一つは、ダイナミックフラミンゴ療法と呼ばれている開眼片足立ち訓練です。目を開けたまま左右1分ずつ1日3回行います。もう一つは、スクワット(股関節の運動)です。足幅を腰幅より広めに取り、様式便座に腰を下ろすイメージで股関節、膝、足首の関節を連動させ腰を上下に動かします。1セット5~6回で、これを3セット行います。ロコトレ以外にもラジオ体操、水泳、ジョギングなども良いでしょう。要介護にならぬよう、日頃からのトレーニングが必要なのです。
 
九段クリニック 阿部 博幸



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