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免疫療法の今:免疫チェックポイント阻害剤を使ったがんのコンビネーション治療

2016/02/12【がん治療について】

前回は、生まれながらに私たちに備わっている"免疫"の働きを活性化させ、がんの克服を目指す免疫療法について少し触れました。

 

がんの免疫療法は欧米でも研究が盛んに行われ、そのなかで主流になりつつあるのが、免疫療法を採り入れたコンビネーション治療といえます。

 

このコンビネーション治療についてお話しする前に、まず、今話題の新しい免疫療法の免疫チェックポイント阻害剤についてお話しすることにいたします。

 

■新しい免疫療法、免疫チェックポイント阻害剤

 

2014年9月に小野製薬から免疫チェックポイント阻害剤の一種、抗PD-1抗体薬が発売されました。新しいコンセプトのがん治療薬として日本でもたいへん注目を集めています。

 

この治療薬はがん細胞を直接攻撃する薬ではありません。

 

がん細胞はとても頭がよく、攻撃しようと近づく免疫細胞のブレーキを押して、その攻撃力を弱めてしまいます。抗PD-1抗体薬とは、免疫細胞のブレーキ役のPD-1という分子に抗体を取り付けて、がん細胞にブレーキを押させないというものなのです。

 

なぜ免疫細胞にはブレーキがあるのでしょうか。

 

免疫細胞は私たちの体を守るために日夜働いていますが、その働きが過剰となり、自分の細胞まで攻撃してしまうと、自己免疫疾患を起してしまいます。

これを抑制するために、免疫細胞にはブレーキがかかるようになっています。がん細胞はこの仕組みを逆手に取って、生き延びようとがんばっているのです。

 

抗PD-1抗体薬の他に、抗CTLA-4抗体薬、抗PD-L1抗体薬など次々と研究開発が行われています。ただし、免疫療法とはいえ薬剤なので副作用がありますので、注意が必要です。

 

欧米では他の治療との組み合わせでより良い効果が出ているとの報告があります。

 

当院でも特許技術による多価樹状細胞ワクチンと活性NK細胞療法を組み合わせたハイブリッド免疫療法に、免疫チェックポイント阻害剤を組み合わせることで、更にいい結果がでています。

 

■免疫療法とがん治療の転換期

 

多価樹状細胞ワクチンや活性NK細胞療法は、がん細胞を攻撃する免疫細胞を大量に活性化させる治療です。

 

がんになると体の中の免疫細胞は、数が少ない状態や活性化していない状態です。

このような状態で、免疫細胞のブレーキが押されない抗体薬を使っても、その威力を十分に引き出すことは難しいと思います。

 

免疫細胞を大量に活性化させることで、免疫チェックポイント阻害剤がより活きてくると考えられます。

 

がん細胞の目印を特定して攻撃する「多価樹状細胞ワクチン」と、異常な細胞を見つけると無差別に攻撃を仕掛ける「活性NK細胞療法」そして、がん細胞の反撃を阻止する「免疫チェックポイント阻害剤」を組み合わせたコンビネーション治療は、これからの免疫療法、いや、がん治療に必要不可欠なものになるでしょう。

 

更に、標準治療も組み合わせたコンビネーション治療も、相乗効果でより効果の期待できるがん治療となるでしょう。

 



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