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ドクター阿部のブログ

余命宣告はすべきでない

2014/08/14【がん治療について】

先日、「余命3ケ月と言われた」という患者様にお会いしました。

その方は、「3ケ月なら、もう何も治療などしたくない」と考えておられました。
私は、余命という考え方の間違いや、もっと幅広い治療の可能性があることなどを具体的にお話しし、
結果的には納得していただきましたが、正直もどかしい思いでした。


ドラマならともかく、現実には
医師は余命宣告などすべきではないと、常々私は思っています。

医師の一言によって患者様の生きる希望を奪ってしまいかねません。
そもそも、余命宣告は、限定された治療の前例からくる「あきらめ」でしかないのです。
宣告されることで、どれだけ患者の精神的な衝撃が大きいことか。
患者様自身の意思決定にいかに大きな影響を及ぼし、
マイナスの思考がどれだけ治療の妨げになることか。

 

がん治療には、標準治療の枠を超えてたくさんの選択肢があります。
たとえ余命3ヶ月と言われても、3ヶ月の間にどう変化が起こるかはわかりません。
私のクリニックでは「免疫細胞療法」を長く続けていますが、その経験の中でも、
他の病院で余命数ヶ月と宣告された患者様が、
8年も9年も生存している治療例があります。
劇的に改善することも十分にあり得るのです。


そうした治療の可能性を、余命宣告で断ち切るというのは、死刑宣告と同じです。
寿命など、医師は神様でないのだから、断定することはできないでしょう。
医師は、言葉の重みというのをもっと考えなければなりません。
もっと「色々な選択肢がある」と、きちんと説明するべきなのです。



免疫細胞療法に限った話ではありません。緩和ケアなども同じです。
緩和ケアというと、がんの末期になってから痛みを軽減するだけの治療と思われがちですが、
そうではなく、がんを診断されたときからケアするというのが現在の主流になっています。

身体能力や思考能力を十分に生かしながら治療することや、痛みを軽減する治療もそうです。
楽しむこと、痛みがないこと、それだけで延命効果につながっていくというデータもあります。

 

できるだけ早く、自分に合った治療を始めるためには、「情報の選択」は重要です。
患者様には、セカンドオピニオン、サード、フォースと、納得いくまで様々な医師の意見を聞いていただきたい。
そうして病気に対する知識を高めると同時に、
信頼できる情報であるかどうかを見極める目を持っていただきたいと願います。

 

がん治療の専門医
アベ・腫瘍内科・クリニック 理事長

 

阿部 博幸



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