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治療の選択権は患者様のもの ~正しく広い知識を持って選択を~

2014/07/30【がん治療について】

「戦場のメリークリスマス」などで知られるミュージシャンの坂本龍一氏が中咽頭がんであることを告白し、
治療に専念するため年内の活動を休止すると発表しました。

それについて一部メディアが、「彼は放射線治療を拒否するだろう」という記事を載せて、論議を呼びました。
坂本氏は原発反対論者として知られていたので、その関連からの記事だったのでしょう。


これに関して、私は「生島ヒロシおはよう一直線」という朝のラジオ番組に出演したときに意見を求められたのですが、
「いい治療があれば是非受けるべき。咽頭がんは放射線治療が効果的ですから、是非やった方がいいですよ」
と答えました。

だからというわけではありませんが、坂本氏は主治医の説得で放射線治療を受けることにしたようです。
(つまりは記事の勇み足だったわけです。)

坂本氏は昨日今日原発反対論者になったわけではありませんから、
原発被害の苦しさと、治療としての放射線とは違うものだと十分に理解していたのでしょう。

 

彼は知的で冷静な方だから正しい判断をされたのですが、
こと生命に関わるがんという病気にかかると、なかなか冷静な判断ができにくいものです。

 

厚生労働省は、今年の三月に策定した「がん研究10カ年計画戦略」において、
治療法を選択するのは患者様自身だと言っています。

 「国民が、がんの統計や予防、早期発見、診断、治療等に対する正しい知識を持ち、
がんを自分のこととしてとらえ、予防、早期発見に取り組むと共に、
自分や家族ががんになっても適切な情報を元に価値観に応じた療養生活を
マネジメントできる社会を構築する。」

患者様が病気に関する充分な知識を身につけて、治療の方法を自分自身で決定できればよいのですが、
実際にそれは困難でしょう。患者様が自分で判断する、そのために必要な情報は
医療側が適切に提供していく、そうしたシステムを作っていこうとしているのです。

 

がんがそうであるように、治療の選択の基準は十人十色です。
場合によっては人生観や主義主張に準ずるもよし、副作用の有無で選ぶもよし、
極端に言えば治療そのものを拒否することだってひとつの道だとは思います。

ですが、今は副作用の少ない抗がん剤も開発されていますし、効果的な放射線治療の技術も進んでいます。
樹状細胞がんワクチン療法という、日常生活を普通に営みながら行えるがん治療の方法もあります。

 

そういう様々な治療法の良し悪しをきちんと知った上で選ぶ、ということが重要なのです。
 

患者様もひとつの考えに凝り固まらず、
坂本龍一氏のように、自分にとって最善の治療は何かを考え選んでいくべきでしょう。
ぜひ、ひとつの治療の専門医だけでなく、いろんな分野の意見を聞くことで、
後悔しない治療を選択していただきたいと思います。
 
 

がん治療の専門医
アベ・腫瘍内科・クリニック 理事長
阿部 博幸



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