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ドクター阿部のブログ

どんながんも治療できる、新樹状細胞ワクチンへ

2013/08/15【がん治療について】

新樹状細胞ワクチン療法の戦略は、いかに患者さまのがんに合致した抗原を選ぶかにかかています。抗原はいわばがんの目印、指名手配写真のようなものですから、いかにキラーT細胞が強力であっても、手配写真が間違っていては効果が出せません。 患者さまご本人のがん細胞を入手できる場合は、これを抗原として用います(自己がんワクチン)。それが難しい場合は、人工抗原を利用します。

 

今では、人工抗原にも多種多様なものがあります。MUC1、CA125、PSA、サバイビン、NY-ESO-1など、数多くの人工抗原が治療に用いられます。中でも近年特に注目されてきたのが、WT1でした。  WT1はほとんどすべてのがん細胞の目印となり得るペプチドです。それだけ多くのがんの治療に用いられていますが、「WT1ペプチド」というWT1の断片だけを使う治療では、HLAがマッチせず使用できない患者様もおられました。 そこでアベ・腫瘍内科・クリニックは、ヒトWT1タンパク質の全配列をカバーする新しいWT1を用いる治療方法を開発しました。全配列をカバーするWT1を、樹状細胞が取り込みやすいように加工して用いる全く新しい方法によって、アベ・腫瘍内科・クリニックでは、HLAの型を問わず、すべての患者様に新樹状細胞ワクチン療法で治療することができるようになったのです。 

  

 実はこのWT1の加工については、故・ラルフ・M・スタインマン(Ralph・M・Steinman)先生の教えにヒントを得ました。 樹状細胞の発見者であり、ノーベル賞を受賞したスタインマン先生は、私に、「ペプチドではなくタンパクの時代が来る」と予言しました。 「樹状細胞をターゲットにしたタンパクをパルスしたワクチンのような新しいチャレンジが必要である。タンパク(及び長鎖ペプチド)ワクチンは、媒体の免疫を引き出すこともなく、抗原の競合も起こらない。同時にそれらは製造するのに安価であり、容易でもある」 (「最新の癌免疫細胞療法」阿部博幸著、永井書店より)。 そして、「抗原特異的な方法による多様な新しいワクチンの開発に力を注ぎ、興奮するようなサイエンスの喜びを体験しよう」(同)とおっしゃっておられます。 新樹状細胞ワクチン療法はまだまだ開発に工夫ができ、一般的に臨床に使われる時代が来るのも夢ではないかも知れません。



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