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ドクター阿部のブログ

人生を支えるがん治療

2013/06/13【個別化医療】

悲しい話ですが、20~40代で乳がんを発症した女性たちの中には、
抗がん剤の影響で不妊になってしまう方がいらっしゃいます。
抗がん剤が治療の中心となる場合だけではありません。
手術をする場合でも、乳がんの術後に微細ながんの死滅を目指したり、再発を予防する目的で抗がん剤を用いることがあり、その副作用で卵巣機能を損なうことがあるのです。
副作用による不妊に悩む女性は、全国に2万人もいると言われています。
中には、医師から不妊の可能性についての説明がなかったという方もいます。
現実を受け入れられずに深く思い悩む方、若い女性らしい恋愛や結婚の悦びを感じられないという方もいらっしゃいます。

 

医師の立場ではがんを克服した成功例だとして、
彼女たちにとっては、そのがん治療はベストだったのでしょうか。

 

また、先日手術で肺がんの治療をしたある有名人が、肺炎で亡くなったというニュースがありました。
手術は成功したものの、免疫力が弱まってしまったようです。
彼は、病気を治したかったのではなく、もっと生きたかったのではないでしょうか。
そう考えた時、本当に彼には手術以外に道はなかったのでしょうか。

 

これは、医師の知識や腕の問題ではなく、治療に取り組む根源的な理念の問題です。

 

今、病気の治療を優先するあまり、患者様の気持ちや人生が損なわれてしまうことが、あまりに多いのではないかと私は危惧しています。
殊にがんという病気においては、身体や経済的な負担が非常に大きい。
例えがんがなくなったとして、治療後に病人が苦しむことになるのでは、絶対に良い治療とは言えないと思うのです。

 

近年私が切実に訴えている「個別化医療」は、病気より病人を診ることを重視します。
「個々の患者様に適した医療」というと、当たり前だと言われるかもしれません。
しかし、実際に個別にがんの遺伝子診断を行い、ゲノムやバイオマーカー等のバイオテクノロジーによる診断、病態などの身体的要因、環境要因や人生観の三要因に基づいて治療計画を立てることを個別化医療学会が推奨しています。
三大医療と言われる手段のみならず、先進医療や補完医療などの豊富な医療資源を正しく検討し、論理的に治療を組み立てているでしょうか。
がんの根治のみならず、経過や予後を含めたサポートがどれほど実現しているでしょうか。

 

がんが治った後も、患者様は人生を歩み続けます。
その人生をサポートする医療こそが、私が理想とする「個別化医療」です。

 
私のクリニックでは、その個別化医療を目標に日夜努力しています。
 
 
 

阿部 博幸


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