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バレエ「シンコペ」を鑑賞してきました

2013/04/08【私的COLUMN】

3月はじめに、モーリス・ベジャール・バレエ団の公演に行ってきました。
バレエはすばらしい総合芸術です。
学生時代、私は美術クラブに入っていて、
あるバレエ団の公演「白鳥の湖」の背景を描いたことがありました。
これがきっかけでバレエを観るようになったのですが、
最近では多忙でなかなか見ることができませんでした。
今回は久しぶりの観賞となりました。
 
今回のモーリス・ベジャール・バレエ団の公演は、
モーリス・ベジャールの名作「ボレロ」「ディオニソス組曲」という
バレエファンにとってはたまらない内容でした。
もうひとつ、私が楽しみにしていたのは、
彼の愛弟子ジル・ロマンが振付をした「シンコペ」という演目です。
シンコペというのは、医療用語で「卒倒、気絶」「心臓停止」を意味します。
人間が失神した時に脳の中で何が起きているのかということを
想像して表現したというもの。
ダンサーを細胞に見立てて、細胞がばたばたと倒れていったり、
死にかかった細胞を助けにくる細胞があって復活したりと、
物語性を持たせて脳内の現象をコミカルに見せてくれたユニークな演目でした。

「シンコペ」のようなテーマがいろんなところで広がっていけば、
失神予防、すなわち心臓や脳の病気を予防することの重要さが
広く認知されていくのではないかと思った次第です。



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余談ですが...失神するにはいろんな原因があります。

1/心臓が停止した場合。
心筋梗塞や心室細動などによって血液が回らなくなって
意識がふうっとなって失神する。
2/脈が遅くなる場合。
徐脈といって、安静時は1分間に50~70回ある心拍数が
30回以下になってくると、脳に血が行かなくなって失神する。
3/体を締め付けた場合。
きついドレスやコルセットなどで体を締め付けると血の巡りが悪くなって
低血圧になって失神する。

3の場合であれば、締め付けている原因を取り除けば、ある程度は回復します。
やっかいなのは1のケースです。
心筋梗塞は冠動脈の動脈硬化やけいれんによって
心筋への血流が不十分となり、虚血が引き起こされるもの。
心室細動は心室が細かく震えて全身に血液を遅れなくなるものです。
心室細動になったら電気ショックを与えて
心臓の動きを元に戻すことが大事です。
今はAED(自動体外式徐細動器)が広く普及し、
医師でなくても使用することができるようになっています。
それほど応急の手当てが必要とされる病気なのです。

臨床では心室、細動を予防するために、
埋め込み型のペースメーカーで徐細動する装置も使われています。
健康な人であっても、たまに心電図を取ってみて、
脈が飛ぶような人は24時間心電図(ホルター心電図)などで
悪い不整脈の可能性をチェックしておくことが重要だと思います。

2の脈が極端に遅くなる徐脈は、洞結節機能不全症候群という病気です。
これはペースメーカーを埋め込んで防ぐことができます。

心室細動や徐脈というのは、年を取るほどリスクが高くなってくるので、
普段から予防しておくことが大事です。



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