HOME > ドクター阿部のBLOG > 個別化医療 > 遺伝子診断の過去現在未来-1 遺伝子検査のパイオニア

ドクター阿部のブログ

遺伝子診断の過去現在未来-1 遺伝子検査のパイオニア

2013/02/07【個別化医療】

1990年代後半、ヒトゲノムの解析が進み、
人の遺伝子が医療に役立つのではないかといわれ始めました。
しかしそれが具体的に医療にどういう形で結びつくかは手探りの状態。
ヒトゲノムの完全解析もはるか先と思われていました。
そうした試行錯誤の状況にあって、私のクリニックでは
かなり早くから遺伝子検査を臨床に応用してきました。
 
 

 

idenshi_kiji.jpg

九段クリニックでは、1999年4月に遺伝子ドックを開設。
(おそらく日本初ではなかったかと思います。)

当時DNA検査と言えば、法医学で親子関係や本人同定に用いられている程度でしたが、
当クリニックでは、検査によって重大病になるリスクを診断し、
がんその他の病気を未然に防ぐ「予防医学」に応用しようと考えたのでした。
 
遺伝子ドックは大きな反響を呼び、様々なメディアで取り上げられました。
綿棒で頬の細胞を採取し細胞の中の遺伝子を調べるという方法の簡便さも加わって、
最先端技術として時代の脚光を集めたのです。
実は、過激な団体に「人種差別だ」と抗議されたこともあります。
出生前診断や遺伝病に結びつけられたり、事件の被害者加害者の同定につなげられたり、
ネガティブイメージとしてとらえられたのでしょう。
 
しかし私が考えるメインテーマは生活習慣病対策、
特に肺がんのリスク対策でした。
 
肺がんと喫煙に高い因果関係があることは知られていて、
喫煙者のうち、男性が7割、女性では2割の方が発症すると言われています。
1日20本吸う方は一切吸わない方と比較して7倍以上の肺がん発症リスクがあり、
咽頭がんに至っては90倍以上といわれています。
これだけ高いリスクがあるのに、たばこを吸う人は、止めろといわれてもなかなか止めない。
「うちの家系で肺がんで死んだのはいない」とか、「おれは大丈夫」とか、
果ては「たばこでがんになるかどうか実験しているんだ」などと言い出す人もいる始末です。
医師の側も彼らを説得する武器を持ちませんでした。
そこで私は、説得の根拠として遺伝子検査を始めたのです。
一般論ではなく、あなたはこういう体質だから気をつける必要がある、と提示すれば、
自らの問題と理解して禁煙してくれる材料になると考えたからです。
    たばこの中には多くの発ガン性物質が含まれています。
    その中の一つにベンツビレンというものがあり
    これは体内で2段階に代謝して無害なものになっていくのですが、
    その代謝酵素に関わる遺伝子を調べれば、
    体質的に肺がんになりやすいかどうかというのがわかるわけです。
その人の肺がんになるリスクが見える形で出るので、喫煙者にとっても受け入れやすいのですね。

 

 

...つづきます。



ページトップ

"
Copyright KUDAN