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ドクター阿部のブログ

個別化医療学会にて2

2012/12/14【個別化医療】

午後の最初の特別講演は、井出音研究所所長の
井出祐昭先生による「音楽と音響の医療への可能性」という演題でした。
音楽の持つ力が心身の健康をサポートすることはよく知られています。
さらに踏み込んで、井出さんは音楽は医療にも効果的ではないかと提言されました。
 1)立体音響を使ったイマジネーションの喚起による苦痛軽減効果の可能性
 2)リズムへの同調による機能回復や心身の活性化への可能性、歩行リズムの獲得、廃用症候群予防など
 3)時間感覚の変化を促す音による待ち時間や治療時間等の主観的時間短縮の可能性など
お話しだけでなく、会場の皆さんを立たせて足踏みさせたり、手を叩いてリズムを取らせたりと、
長時間座っていた聴衆側にとっても、いい気分転換になったのではないでしょうか。
音楽と医療という点では、私のクリニックでも、「4Dバイオサウンド・セラピー」という音響療法の研究を当の井出さんと共同で進めています。
これは一般のいわゆる音楽療法とはまったく違うもので、耳で聞くのではなく、
立体音響システムを使って音のシャワーを浴びるかのように体全体で聴くものです。
音の周波数にまるで細胞自体が共振し、エネルギーを注入されるようなイメージで、
生きる力、治ろうとする力を体の奥底から湧き上がらせる効果があると考えられます。
 
続いて製薬企業側から見た個別化医療という観点から
製薬企業におけるファーマコゲノミクスの現在と将来」という演題で
大正製薬医薬開発部の末松浩嗣先生が、講演をされました。
企業の新薬開発においても、安全性情報や他剤との差別化やコンパニオン診断薬との同時開発など、
ファーマコゲノミクスを応用した取り組みが進んでいることのこと。
コンパニオン診断薬は、標的分子の発現や遺伝子変異の有無、薬物代謝酵素の遺伝子多型などを調べ、
薬剤の有効性や副作用を予測するために使われるもので、
新薬とセットで開発され、患者個人に新薬が効くか効かないかを見極めながら治療していく個別化医療へ、
製薬側からもアプローチが進んでいることがわかりました。
 
特別講演の最後は九州大学胸部疾患研究施設教授であり、
日本肺癌学会理事長でもあられるの中西洋一先生が
「がんの個別化医療・我々が進むべき道」と題して、分子標的薬の登場ががん治療を劇的に変えつつあること、
その最新の成果である非小細胞肺がん治療薬のクリゾチニブを紹介されました。
なにしろ、酸素ボンベが手放せなかった末期の肺がん患者が
1週間で散歩できるようになったと言われるほど効果の高い新薬です(商品名ザーコリ)。
しかし、それが効果を上げたのは、バイオマーカー検査の進歩があってこそ。
いかに効果の高いクスリでも
患者が対象となる遺伝子を持たないとまったく効かないとの主旨でした。
バイオマーカーを調べた上で薬剤を選択し、投与することが
日常臨床で行われるようになるだけでなく、
臨床試験もバイオマーカーを基軸に行われるようになっているということです。
 
イブニングセミナーとして
、国立台湾大学医学院付属医院外科主任医師の郭 文宏先生が演壇に立たれ、
 「個別化医療におけるサポーティングテラピーの重要性(漢方の役割)
  ~複合抗がん漢方薬の転移性乳がんにおけるヒト臨床試験結果」について、
末期の乳がん患者に対して抗がん漢方薬治療を行った臨床試験の結果が良好であること、
さらに副作用が生じないことで患者のQOLが向上したことなどを発表されました。
 
閉会したのは6時になっていたでしょうか。9時間にわたる長丁場でしたが、
非常に有意義な学術集会になったと思います。
演者の方々、座長の方々、関係者の方々、そして聴衆の方々、お疲れ様でした。



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