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山中教授ノーベル賞を祝う

2012/11/24【私的COLUMN】

今年のノーベル医学・生理学賞に、
iPS細胞を作成した京都大学の山中伸弥教授が決まりました。
iPS細胞という世紀の大発明は
日本の、そして世界の医学の進歩にとっての貢献度はきわめて大きく、
ノーベル賞にふさわしい。心からの称賛を贈りたいと思います。
 
さて、iPSは人の体細胞から作られる幹細胞のことで、
体のどんな部位の細胞でも作り出せる人工多能性幹細胞です。
再生医療の分野では受精卵を用いるES細胞の研究が先行していましたが、
受精卵はヒトの生命そのものであるため、倫理的問題から行き詰まりを見せていました。

これに対してiPS細胞は、人の体細胞であるなら、皮膚などどの部位からでも作ることができるものです。 
山中教授は、体細胞に山中ファクターと呼ばれる4つの遺伝子を組み込んで「細胞の初期化」をし、
iPS細胞を作製する方法を発見したのです。
iPS細胞を使った治療方法については期待が高く、
世界中の研究者が急ピッチで研究に取り組んでいますが、
現時点では、実用化を見通せていないのが現状です。
というのも、今はウイルスを使ってiPS細胞に遺伝子を組み込んでいるために、
発がん性などのリスクを無くしきれてないのです。
また、iPS細胞から臓器を作るのに時間がかかることなども課題です。
 
そんな10月半ば、山中教授ご自身が
臍帯血という宝の山を、ぜひiPS細胞に使わせていただきたい」と発言されてニュースになりました。
皮膚などの体細胞からiPS細胞を作製し、治療に必要な細胞を作るには約半年かかります。
それでは治療に間に合わないことがあるので、あらかじめ様々なタイプのiPS細胞を作製し、
備蓄・保管しておく体制づくりへの取り組みを提唱されています。
そのために臍帯血幹細胞を活用したいと申し出たわけです。
細胞には「HLA型」と呼ばれる免疫の型がありますが、
臍帯血細胞は採取時にHLA型の検査を受けるため、必要なタイプを集めやすいのです。
また、臍帯血は紫外線などのダメージを受けていないので
高品質のiPS細胞を作製できるといいます。
山中教授は国内8カ所の公的な臍帯血バンクと連携し、臍帯血の提供を受けることを目指していますが、
今のところは、これも利用方法についての具体的なルールや指針は定まっていません。
今後、研究にも臨床にも使っていけるような方向性で早急なルール作りが求められています。
 
私は、この臍帯血幹細胞を使った再生医療に早くから着目し、
今年5月には、アメリカのトーマス・ジェファーソン大学での講演で治療法を紹介してきました。
 
臍帯血細胞からiPSで臓器の形を作って移植するやり方ではなく、
細胞を必要とするところにこの「幹細胞」を送り込む再生医療のやり方です。
すでにアベ・腫瘍内科・クリニックではいくつもの臨床研究を行い
臍帯血由来の幹細胞を投与する方法で、
「脳梗塞によって失われたの脳細胞の再生」
「パーキンソン病の治療」
「腎臓移植後の補助的治療」
「血管の再生」 ...などに効果を上げています。

今回、ノーベル賞受賞者がアプローチしたことで、
私が以前から指摘していた臍帯血幹細胞の優秀性に光が当たったことは、
再生医療の加速度的な進歩、およびその先にある個別化医療の普及にもつながる
喜ばしいことだと思っています。



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