HOME > ドクター阿部のBLOG > 私的COLUMN > 相手の心を開いてもらうためには

ドクター阿部のブログ

相手の心を開いてもらうためには

2012/08/08【私的COLUMN】

日本は世界的にみても医学先進国であり、欧米より進んでいる分野もあります。
例えば、再生医療の分野においては日本が非常に進んでいますし、
今年5月のトーマス・ジェファーソン大学における
樹状細胞ワクチンについての私の講演が大きな話題を呼んだのは、
私がこの治療法について、予想以上の臨床成果を上げていることを認めたからだと思います。
 
私はこれまで、トーマス・ジェファーソン大学に限らず、
世界中の多くの大学と交流を深めてきました。
多くの大学で受け入れられてきたのは、ひとつには、私のアイデアや発想が評価されたからでしょうか。
 
例えば、
サンフランシスコ大学カリフォルニア校では、自由に研究設備を使うことを許されていました。
この学校は、医学分野で有名な州立大学です。
私がアメリカで研究論文を書く際事前に依頼すれば
動物や機械や薬品をひと通り準備しておいてくれますし、
一週間だけ実験して帰りたいと言えば、その通りに予定を組んでくれるんです。
同校の客員教授をしていた当時、研究成果を日本で発表しようとしたところ論文を学会に一蹴されてしまいました。内容が難しかったのかもしれません。
アメリカに持ち込んだところ、著名な学会誌『American Heart Journal』の巻頭ページに
採用されたことがありました。
    サンフランシスコ大学の客員教授時代、私は心臓のエネルギー代謝の研究をやっていました。
    当時、心不全における心臓の代謝を調べようと思ったら、
    心電図に合わせて瞬間的に心臓を凍らせ、    
    組織を取って測るしかありませんでした。
    しかしこの方法ではたった一回しか測ることはできません。
    私はMRスペクトロスコピー(物質が出すスペクトルを測る、物質を同定する手法)を利用して
    生きた心臓を連続して測る装置を考え出しました。
    3テスラとか5テスラという非常に高い磁場を持ったMR装置の中に
    鼓動している心臓を入れてデータをとり、
    心臓に負担がかかったらどうなるかを連続的に図った画期的な実験でした。
    言いかえれば、突拍子もない、
    アメリカの循環器医学会でも目が点になるくらいの実験だったのです。
 
当時は客員教授という職務からある程度自由に研究する特権を与えられていたわけですが、
それだけでなく、私が奇抜な発想、豊富なアイデアを持っていたから叶ったのだと思います。
 
アメリカでは、自分でアプローチしないと誰も何も教えてくれない、という傾向があります。
国際交流という言葉は心地よく響くかもしれませんが、
実際には、今のアメリカで本流の医学を学べている日本人はそう多くありません。
知恵を盗もうという心で近寄っていく人は警戒されて跳ね返されます。
しかし、こちらの持っているものと相手の持っているものを交換するつもりで
フランクにアプローチしていけば、心を開いてくれるのです。
ギブ&テイクの考え方で、自ら学び、アピールし、道を拓く努力が必要です。



ページトップ

"
Copyright KUDAN