HOME > ドクター阿部のBLOG > 私的COLUMN > The Changing Landscape of Surgery 3~新たな進化の次代へ

ドクター阿部のブログ

The Changing Landscape of Surgery 3~新たな進化の次代へ

2012/06/22【私的COLUMN】

28.レクチャー.JPG25.レクチャー.JPGのサムネール画像26.レクチャー.JPGのサムネール画像

夢のがんワクチンというふれこみで、2年ほど前にFDAに認可されたプロベンジという前立腺がんの薬があります。認可はされたものの、さほど成績はよくないようです。これだったら、私がクリニックで行っている樹状細胞がんワクチンの方がよっぽど成績がいい。40ヶ月生存率で見ると、プロベンジは30%しかない。それに対して樹状細胞がんワクチンは62%もある。はるかに高い延命効果があります。

 

樹状細胞がんワクチン療法は、まず患者さんの血液から取り出した単球という細胞から樹状細胞を作ります。樹状細胞にがん抗原を記憶させ、培養してワクチンを作り、リンパ節近くに皮内注射して体内に戻します。
この樹状細胞がんワクチンが、体内のキラーT細胞にがんの抗原を提示し、がん細胞を攻撃するよう指示するわけです。
樹状細胞がんワクチンの特徴は、延命効果が高いのはもちろんですが、がんの部位を問わないこと。消化器がん、乳がん、肝臓がん、すい臓がん、胆のうがんなど多くのがんに対して有効です。また、患者さんのQOLもきわめて高い。普通の日常生活を送りながらがん治療ができます。
私はテンプルトン大講演会でもこの治療方法を紹介し、外科医たちに、「がんの手術をしたら、がん細胞を保存しておいてほしい」とお願いしました。患者自身のがん細胞を使った樹状細胞がんワクチンは、がんを退治するだけでなく、転移を予防したり、再発を予防したりする効果も高いからです。

 

医療の世界は劇的に進んでいますし、これからも変化していきます。
そして、外科医は、今よりももっともっと忙しくなるのではないかと思います。
外科の領域が広がっていくのですから。

 

講演の最後に、私はグロス先生の著書を紹介しました。
トーマスジェファーソン大学には、グロス先生という革新的な先生がいたじゃないか。古きを訪ねて新しきを知るということが大切なんです、と。
「ひと握りの医師が技術を独占して誇ること、あるいは外科の分野でそれによって評判を得るような時代は過ぎ去りつつあります。みんなが技術を手に入れることで、ある人はより偉大で、より賢く、もっと有能になるかもしれない。驚くべき進歩の時代が進みつつある。アメリカの外科学が、他の国と肩を並べる水準以上にあることを、喜ばしく思います」(S.D. Gross "System of Surgery" October 1882)   

 

締めくくりの言葉を終えた瞬間、満員の聴衆から盛大な拍手をいただきました。

 



ページトップ

"
Copyright KUDAN