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ドクター阿部のブログ

講演を終えて

2012/06/29【私的COLUMN】

講演後、活発な質疑が行われ、トーマス・ジェファーソン大学での私の講演は成功裡に終わりました。
後日、現サミュエルグロスプロフェッサーであるチャールズ・ヤオ教授からも、
「大変に良い講演だった。(外科の展望についても)共感する。」という、丁寧な手紙をいただきました。
日本人ではじめての大役を無事に果たせて、ほっとしているというのが正直な気持ちです。


さて、フィラデルフィアに滞在中、世界でも最も進んだ医療現場のひとつであるトーマスジェファーソン大学において、私は様々な経験を得ることができました。
まず、心臓移植のカンファレンスに参加しました。医師とコーディネーター達が患者の状況を共有し、ドナーと適合する患者を検討し、順番を討議する会です。別の難しい外科症例のケースカンファレンスでは意見を求められる場面もありました。講演で話題に出したダビンチによる手術を見学する機会もいただきました。
また、郊外にあるペンシルバニア大学では動物実験室を見学しました。人間が使うような立派なMRIを使って実験しているのには驚きますね。


36.ペンシルバニア大学の研究ラボ見学.JPG55.手術を終えたディール教授と.JPG心臓外科のトップであるディール教授の心臓手術を見学させていただいた時には、ほとんど血を流すことなく行われる精緻な手術技術を見て、止血や心筋保護などの基礎技術がしっかり行われているのだと実感。アメリカの高い教育レベルを感じました。手術中に脳の酸素濃度計や超音波検査装置が常に稼働して患者の状態をモニターしているし、止血がしっかりしているから心臓手術でもほとんど出血しないのです。


これらの経験によって、アメリカ外科の現状というのもつぶさに見ることができました。それは自ずと日本との違いを浮き彫りにしたものでもあります。
例えば、心臓移植手術が普通に受け入れられていること。心理的な拒否反応もないし、ほとんどが成功しているし、社会復帰している人もたくさんいます。ジェファーソン大学では年に20例くらいの心臓移植手術をしているそうです。
また、教育による基礎技術の差も、そのひとつです。手術の手順を教授からきっちりと教えられているから、細かい安全性とか正確性がしっかりしている。旧来の徒弟制度のように「見て覚えろ」というのではなく、教育システムがしっかりしているから、手術のレベルが均等で、そのため、手術の成績も安定しています。日本もこういうところを見習わなければならないと思った次第です。


5泊6日、駆け足のアメリカ滞在でしたが、得たものは非常に多かったと思います。
もともと私は心臓外科医ですが、現場を離れて時間が経ちました。
胸部外科医としてのキャリアの総仕上げとして、今回の講演を考えていましたので、
成功したことを本当に喜ばしく思い、清々しく、また安堵しています。



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