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医療の潮流の真ん中 ~アメリカ留学時代~

2011/12/01【私的COLUMN】

フィラデルフィア小児病院の次に、クリニカルフェローとして赴任したクリーブランド・クリニックには、
冠動脈造影法を開発したメイソン・ソーンズ(Mason Sones)博士がおられました。
それまでは、冠動脈のどこが詰まっているのかがわからなかったため
冠動脈を手術することが不可能だったのですが、
冠動脈にカテーテルを入れ造影剤で鮮明に写すこの技術によって、はじめて手術が可能になりました。
私は、彼から直接冠動脈造影法を学ぶことができたのです。
 
世界で初めて冠動脈手術を成功させたのは
同じくクリーブランド・クリニックのファバロロ先生とエフラー先生でした。
同じクリニックでこの成功をともに祝した私は、次第に、
こうしたすばらしい技術をなんとしても日本に持ち帰って普及させたいと思うようになっていきました。
 
また、いま循環器内科で盛んに行われるPTCA手技(スイス・チューリッヒ大学の
グルンツイッヒ博士が開発した、血管内の詰まった部分をバルーンで広げる技術)の黎明期には、
スタンフォード大学のシンプソン教授が手掛けていた新しいバルーンの開発に、
客員教授として協力しました。
民間のバルーン開発会社のアドバイザリーボードになって様々なアドバイスをしたこともあります。
 
今思えば、私は、世界の新しい技術が始まる現場に居合わせるチャンスに恵まれていました。
先天的心臓疾患手術のマスタード法を第一人者から直接教わり、
心臓手術の世界的権威のギボン教授に私淑し、
冠動脈造影法という当時の最先端技術、今でも広く使われている重要な技術を
開発者から直接学び、そしてPTCAの進化にも立ち会うことができた。
世界的な医療の潮流の真ん中にいたといっても過言ではありません。
 
また、単に技術を習得するばかりでなく、米国の教育のすばらしさを体感しました。
優れた教授は教え方も優れているのです。
私も教わったとおりに手術をすると、教授と同じに、実にスムーズにできるようになる。
教育の重要性を改めて感じ、こうした教育を日本でも広めなければならないと思い、
帰国することを決断しました。
向こうではずいぶん引き留められましたが、日本で臨床教育の発展に貢献したいという思いが勝りました。
だからこそ、帰国後は新しい医療技術の研究会を立ち上げ、
これらの浸透と技術向上に力を尽くしてきたのです。



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