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乳がんにおける樹状細胞がんワクチン療法の効果

2011/10/27【がん治療について】

前回は乳がんに対して免疫細胞治療という選択肢があるところまでお話ししました。免疫細胞治療の中でも、「樹状細胞がんワクチン療法」は、乳がんに対して効果が高く、副作用もほとんどないという特徴があります。
  
私はつい先日、国際統合医学会で、樹状細胞がんワクチン療法が、手術不能で進行再発性の乳がん患者に際だった有効性があるという実績データを発表しました。手術不能で標準治療に抵抗性の乳がん患者21例に対して、樹状細胞がんワクチン治療を施したところ、部分寛解2例、不変7例、進行12例となりました。ほとんどが末期の症例ですから、顕著な延命効果が見られたと言って間違いありません。また、早期であればあるほど、より効果は高いことは明らです。
 

Medical-Turibune201107.jpg
※Medical Tribune(2011.07)
 
 
 
余談ですが... 
以前の当コラムでも書いたように、樹状細胞の発見者は、今年のノーベル賞を受賞したラルフ・スタインマン(Talph・M・Steinman)ロックフェラー大学教授です。ノーベル賞受賞発表の直前に亡くなったことで話題になったので、ご記憶の方もいらっしゃるでしょう。ノーベル賞は死亡者には贈らないという規定があるにもかかわらず、ノーベル賞委員会はスタインマン博士への授賞を取り消しませんでした。それほどスタインマン博士の業績は偉大だからです。
 
私自身がスタインマン博士にあったのは、7年ほど前、樹状細胞に関する最初のシンポジウムが日本で開かれ、彼が来日した時でした。また、2010年に風光明媚な南スイスのルガノで開かれた樹状細胞ワクチンフォーラム(DC2010:Forum on Vaccine)にもご出席なさいました。直接お会いしたのはこのときが最後になります。 
先生は研究一筋の方で、とにかくフェアな立場で研究を進めていました。フェアな方ですので、世界中の研究者を正しく評価し、また若い研究者を育てることにも情熱を注いでいました。
 
1973年にスタインマン博士によって発見された樹状細胞は、がんへの攻撃力の強いT細胞に、攻撃対象であるがん細胞の情報を伝達するきわめて重要な役割を担っている細胞です。樹状細胞は現在の免疫療法の鍵を握るものです。免疫の世界では彼の発見以降、いろいろな治療法の開発が飛躍的に進みましたし、これからも開発されていくでしょう。九段クリニックの樹状細胞がんワクチン療法は、この樹状細胞による治療を進化発展させ、臨床に応用しています。

 



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