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ドクター阿部のブログ

Personalized Medicine ~身体も心も診る医療へ

2011/09/01【私的COLUMN】

心の乱れが病気となって現れることは少なくありません。
現代人の生活は様々なストレスにさらされており、
それが深刻な生活習慣病を招いてしまうのです。
例えば高血圧は体質的な問題もありますが、やはり食生活の影響が大きい。
がんも遺伝的な要素もあるものの、喫煙や暴飲暴食、高カロリーの食事などの
生活習慣病から発生することも多いものです。
これを改善すれば6割のがんは地上から消えるとまで言われています。
ウイルス感染性のがんも含めれば7割までが予防できるがんなのです。
それほどストレスからくる生活習慣病は怖ろしい。

そのストレスの深刻さは、先頃厚生労働省が発表した5大疾患にも現れています。
がん、急性心筋梗塞、脳卒中、糖尿病という日本人の4大疾病を
はるかに上回る、うつ病や認知症などの精神疾患が、
地域医療の基本方針となる医療計画に盛り込むべき疾患として新たに加わりました。
また、年間の自殺者は3万人を下回ることはなく、
自殺に至らないまでも精神を病んでいる人がいかに多いことか。

こうした心の奥の精神的な病が肉体の疾患となって現れるのが現在の病気の構造です。
とすれば、医師が心の問題に踏み込んで解決してあげることが、
早く疾病から回復するための近道になります。
心と体、両面の治療によって病気を元から治すというのが
医療の一つの理想だといえます。

もちろんそれは容易なことではありません。
個人によって症状が違うのだから、医療は当然パーソナルで総合的な方向に向かうべきです。
特に心の問題はすべて個人の問題ですから、それぞれに最適の治療というのもすべて違ってくる。
一律にこのクスリを飲ませておけば大丈夫、というのとはまったく違います。
今後の医師はあらゆる治療法に精通し、
患者様の心の問題も含めた個人個人ごとに最適の治療を行っていかねばならなくなります。
今よりずっと患者様に踏み込んだ重い役割を果たさねばなりません。
「Personalized Medicine」とも呼べる患者様本位のテーラーメイドな医療に、
私たちは積極的に取り組んでいます。
 
しかし、今の保険医療制度ではたくさんの患者を診なければやっていけない構造になっており、
時間をかけてじっくりとカウンセリングする体制になっていません。
また、知識重視の医師にはカウンセリングの人間的な条件や、
診断によって目の前の患者様の悩みを見抜く能力も訓練も不足しています。
「Personalized Medicine」をより広めるためには医師個々の努力や制度の整備が必要です。
そしてそれ以上に、知識、技術、倫理の研鑽を積むことができる教育制度の改革が望まれます。



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