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ドクター阿部のブログ

現代診療風景(その2) 古きを知らねば医療は成り立たない

2011/08/08【私的COLUMN】

新しいものがすべて正しく、古いものはすべて正しくない。
いまの日本の社会にはそうした風潮が蔓延しているように思えます。
しかし、本当にそうでしょうか。
むしろ、医療の現場では歴史的な偉業をなおざりにするべきではないと思います。
ITを駆使した最新の医療機器は確かに正確な診断が下せますが、
それに全面的に依存するのでは、検査にも時間がかかるし、
患者様との信頼関係も築けないのです。

聴診器一つでわかる病気はたくさんあります。
4診といって、問診、視診、触診、聴・打診と患者の異常を診るスキルは古くからあるのです。

しかし、今の若い医師は基本を学んでいないため、聴診器の使い方一つ知らない。
聴診器にはベル型と膜型と2種類あって音を聞き分けるのですが、今の若い医師はそれを使いこなせない。
こうした4診のスキルは、診察の基本でありながら、教科書で覚えられるものではありません。
学校ではある程度教えますが、黒板に書いて説明するくらいでは、身につくわけがない。
たくさんの患者を実際に診て、現場で学ぶことが一番の近道なのですが。

以前はインターン制度というのがあって、
その期間は医師は「修行」期間と割り切って、指導教授の監督の下で
たくさんの患者様を診ていきながら、自らのスキルを高めていったものでした。
それによって早く正確な診断を下すことができるようになっていく。
本物の医師となっていくのです。

そのインターン制度が廃止され、
今では国家試験に合格すれば、医師だと名乗ることができる。
しかもどんな診療科でも名乗ることができます。
100年に一度しか出会うことのない珍しい病名については詳しくても、
目の前の患者様の病気を診断することができない。
そうした医師とはいえない医師が増えているという現状に、
私は深い憂慮を覚えるのです。



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